☆ 吉田兼好(兼好法師) ☆ 


よしだけんこう(けんこうほうし)
【1283(弘安6)頃−1350(観応1)頃:南北朝初期の歌人・随筆作者】
 鎌倉末期から南北朝初期の歌人・随筆作者。本姓は卜部(うらべ)。慈遍の弟(
一説に兄)。和歌を二条為世に学び二条派の和歌四天王と称せられ、「続千載集」
以下の勅撰和歌集に一六首入集。その著「徒然草」は「枕草子」と並ぶ随筆文学の
傑作。兼好法師。

【徒然草(つれづれぐさ)】
 随筆。二巻。吉田兼好著。1330〜31年頃成立(異説あり)。随想・見聞な
どを、著者の感興のおもむくままに記したもの。無常観に基づく、著者の人生観・
美意識などがうかがえ、「枕草子」と並ぶ随筆文学の傑作とされる。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−
cf.
【枕草子(まくらのそうし)】
 随筆。三巻。清少納言作。一〇世紀末から一一世紀初頭の成立。一条天皇の皇后
定子に出仕した作者の宮廷生活の回想・見聞、また自然・人生などに関する随想な
どを約三百の章段に綴ったもの。感覚鋭く、文章軽快で源氏物語とともに王朝女流
文学の双璧とされる。清少納言枕草子。清少納言記。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−
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◇ いずかたをも捨てじと心にとり持ちては、
  一事もなるべからず。

◇ 一時の懈怠、
  すなわち一生の懈怠となる。

◇ 一事を必ずなさむと思わば、
  他の事破るもいたむべからず。
  人のあざけりをも恥ずべからず。
  万事に変えずしては、
  一つの大事成るべからず。

◇ 一銭軽しといえども、
  これを重ぬれば、
  貧しき人を富める人となす。
  されば、
  商人の一銭を惜しむ心切なり。

◇ 勝たんと打つべからず、
  負けじと打つべきなり。
         「徒然草」

  勝とうとするとあせりが出て失敗するが、負けなければよいと思えば心の余裕が
  生じて冷静に勝負ができる、ということ。
  双六の上手な人のやり方として「徒然草」第110段に出てくる言葉。
  早く負ける手を考えて、それを避けて遅く負ける手にしたほうがよいともいう。

◇ 初心の人、
  二つの矢を持つことなかれ。
     「『徒然草』第92段」

  「弓の初心者は、矢を射るとき二本の矢を持ってはならない」と弓の師匠が言
  った言葉。
  二本の矢を持つとどうしても後の矢があると思ってしまい、一本の矢に対する
  心構えがおろそかになってしまうということ。

◇ 友とするに悪き者七つあり。
  一つには高くやんごとなき人。
  二つには若き人。
  三つには病なく身強き人。
  四つには酒を好む人。
  五つにはたけく勇める兵。
  六つには虚言する人。
  七つには欲深き人。

◇ 人は万をさしおきて、
  ひたぶるに徳をつくべき(財産を作るべき)なり。
  貧しくては生けるかひなし。
  富めるのみを人とす。
  徳をつかむと思はば、
  すべからくまづその心、
  づかひを修行すべし。
  其の心といふは他のことにあらず。
  人間常住のおもひに住して、
  かりにも無常を観ずる事なかれ。
  是第一の用心なり。
                    「徒然草」

◇ 一人灯のもとに文を広げて、
  見ぬ代の人を友とするぞ、
  こよなう慰さむわざなる。
           「徒然草」

◇ 誉(ホマ)れはまたそしりの本なり。
         「『徒然草』第38段」

  人間の評価は見る角度によって違うから、名声を得たそのことが非難の原因な
  ることがあるということ。
  【誉れ(ほまれ)】
   ほめられて世間的に光栄であること。評判のよいこと。名誉。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◇ 世の人の心まどわす事、
  色欲にはしかず。
  人の心は愚かなるものかな。
           「徒然草」