☆ 寺田寅彦 ☆
てらだとらひこ
【1878−1935:物理学者・随筆家】
東京生まれ。筆名は吉村冬彦・藪柑子(やぶこうじ)など。東大教授。物理学・
地球物理学・地震学・気象学・海洋学などの研究に従事するかたわら、夏目漱石に
師事し「団栗」「竜舌蘭」など写生文や小品に新生面をひらいた。代表随筆集「冬
彦集」「藪柑子集」「万華鏡」
−三省堂提供「大辞林第二版」−
◇ いわゆる頭のいい人は、
いわば脚の速い旅人のようなものである。
人より先のまだ行かないところへ行き着くことが出来るかわりに、
途中の道程或いはちょっとした脇道にある肝心なものを見落とす恐れがある。
◇ 疑うがゆえに知り、
知るがゆえに疑う。
◇ 科学は
やはり不思議を殺すことではなくて、
不思議を生みだすものである。
「蒸発皿」
◇ 健康な人には病気になるという心配があるが、
病人には回復するという楽しみがある。
◇ 最後の一歩というのが実はそれまでの千万歩よりも
幾層倍むつかしいという場合が何事によらずしばしばある。
「自由画像」
◇ 読書もとよりはなはだ必要である、
ただ一を読んで十を疑い百を考うる事が必要である。
「知と疑い」
◇ 美術家は時に原始人に立ち返って自然を見なければならない、
宗教家は赤子の心にかえらねばならない、
同時に科学者は時に無学文盲の人間に立ち返って考えなければならない
◇ 私は「四十にして惑わず」という言葉の裏に
四十は惑いやすい年齢であるという隠れた意味を認めたい。
「厄年とetc.」