☆ 武者小路実篤 ☆ 


むしゃのこうじ さねあつ
【1885−1976:小説家・戟曲家】
 明治18年東京に生まれる。明治40年文学に専念するため在学1年で東大社会
科を中退し、翌年小説、詩などを集めた著作集「荒野」を出版。明治43年志賀直
哉らと「白樺」を創刊。この時期に少年時代に影響を受けたトルストイ主義からの
脱却をはかり、自己中心主義を基調とするに至る。大正7年宮崎県で新しき村を建
設し、宮崎へ移住。この期間に「友情」「或る人」「人間万歳」を書くなどして、
創作力が最も旺盛だった。昭和初年の10年間は多数の伝記小説を書き、のちにヨ
ーロッパ紀行、純愛小説、美術関係と多方面の著作活動を展開した。戦後は「真理
先生」などの文学作品もあるが、画人としての比重が増すに至った。ほかに「お目
出たき人」「幸福者」「愛慾」などがある。昭和51年91歳で逝去。
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◇ 与えられたる運命を、
  最もよく生かすということは人間にとって大事なことである。

◇ 打てばひびくような人が好きである。
  十の誠意で受けとってくれる人が好きである。
  僕に十の誠意を要求するものは、
  また十の誠意をもって来なければならない。
                   「自画像」

◇ 運命は波のように、
  自分たちを規則正しく、
  訪れてくれるのだが、
  自分たちはそれを千に一つも生かすことができないのだ。

◇ 女によって堕落する人もある。
  しかし女あって生きられる人が何人あるか知れない。
                   「お目出たき人」

◇ 顔なぞどうでもいいと言う人もあるが、
  しかし美しい人の魅力は否定出来ない。
               「真理先生」

◇ 幸福は分に応じて、
  心がけよくして生きてゆけば誰でもなれるはずである。

◇ 傲慢(ゴウマン)というものはよくないものだ。
  しかし鷲は烏のような顔をする必要はない。  
  烏にこびる必要は更にない。
  虎は猫の真似をする必要は毛頭ない。
                   「人生読本」

  【傲慢(ごうまん)】
   思い上がって横柄なこと。人を見下して礼を欠くこと。また、そのさま。不
   遜。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◇ 自分でも何かのお役に立つのだ。
  このことは喜びである。
  この喜びは自分の一生が無意味でないことを示している。
  このことを幸福に感じるのである。

◇ 自分の一生を平和にするためには心を静かにすることが必要だ。

◇ 自分の仕事は自分の一生を充実させるためにある。

◇ 自分の力に合うことだけしろ、
  その他の事はおのずと道が開けてくるまで待て。

◇ 自分を信じて行かなければいけない。
  教わるものは遠慮なく教わるがいいが、
  自分の頭と眼だけは自分のものにしておかなければいけない。

◇ 人生にとって健康は目的ではない。
  しかし、
  最初の条件なのである。

◇ 他人がどうであろうと自分さえ、
  ちゃんとしていればいい。
  するだけのことをすればいい。
        「第三の隠者の運命」

◇ 他人に要求することを先ず自分に要求せよ。

◇ 他人の位置に時々自分をおき、
  自分の位置に他人をおき、
  他人の気持ちを察し、
  小我をのさばらすな。
            「幸福者」

◇ 人間を恐れるな。

◇ もう一歩。
  いかなる時も自分は思う。
  もう一歩。
  今が一番大事なときだ。
  もう一歩。

◇ わが行く道に茨(イバラ)多し
  されど命の道は一つ
  この外に道なし
  この道を行く

  【茨/荊/棘(いばら)】
   (1)バラ・カラタチなど、とげのある低木の総称。
   (2)(多く「薔薇」と書く)ノイバラ・ヤマイバラなどのバラ科バラ属植
      物の総称。うばら。うまら。むばら。
   (3)(中部・関西地方で)植物のとげ。
   (4)(建築で)二本の曲線の出合った所にできるとがった形。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◇ 笑はれるのを恐れるよりは、
  心にないことを云ふのを恐れなければいけない。
                    「幸福者」