☆ 川端康成 ☆ 


かわばた やすなり
【1899(明治32)−1972(昭和47):小説家】
 1899年、大阪市に生まれる。15歳で肉親全部を失い、叔父に引き取られた
。1920年、東京帝国大に入学した川端は、同人誌に発表した『招魂祭一景』で
菊池寛に認められ、以後、菊池の紹介で知り合った横光利一らとともに「文芸時代
」を創刊して、新感覚派の運動を進めた。青春小説『伊豆の踊り子』で文壇に登場
。孤独な自己を見つめる厳しい目と、他人への優しさを持つ叙情的な作家として認
められた。 その後、『浅草紅団』『禽獣』『末期の眼』などを経て、名作『雪国
』が生まれる。越後湯沢の温泉場の風物と登場人物とが調和して日本的な叙情が描
かれ、文壇の絶賛を博した。戦争期も時局に影響を受けることなく、芸術派の作家
として書き続け、戦後は『千羽鶴』『山の音』『古都』などの、日本的な美を描く
作品を残した。1968年、日本人初のノーベル文学賞を受賞するが、その後多忙
を極め、年齢や病気のためもあってか、創作力も衰え、1972年、逗子のマンシ
ョンでガス自殺を遂げた。
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◇ 後に残ったものの反省や後悔は、
  死んだ人の重荷になりそうに思いますの。
                 「千羽鶴」

◇ 一輪の花美しくあらば、
  われもまた生きてあらん。
        「虹いくたび」

◇ 一生の間に一人の人間でも幸福にすることが出来れば自分の幸福なのだ

◇ 夫を持ったり、
  子供を持ったりするたびに、
  人間の心の眼は開けてゆくものだよ。
              「結婚の眼」

◇ 男が家庭を持ちたいってのは、
  思いきり阿呆になれる場所がほしいからだ。
                「化粧と口笛」

◇ 親の生涯の成功か失敗かは、
  子供の結婚の成功か失敗かにもよるらしい。
                  「山の音」

◇ 画竜点睛といってね、
  結婚も確かに点睛の一つだよ。
  夫を持ったり、
  子供を持ったりする度に、
  人間の心の眼は開けてゆくものだよ。
              「結婚の眼」

  cf.
  画竜点睛:がりょうてんせい  −歴代名画記
  梁の画家張僧(チョウソウヨウ)が、竜を描いて、その睛(ヒトミ)を書き加
  えたところ、竜が天に昇ったという故事から、物事全体を生かす中心のこと。
  また、物事を完璧なものにするための最後の仕上げのこと。物事の大事なとこ
  ろ。〔「睛」を「晴」とするのは間違いです〕
  【画竜(がりょう)】
   〔「がりゅう」とも〕絵にかいた竜。
  【点睛(てんせい)】
   動物を描き、最後に睛(ひとみ)を書き入れて完成させること。転じて、重
   要な部分を最後に加えて全体を完成させること。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◇ 犠牲を清らかならしめよ。
  自分を犠牲にした者は、
  自分を犠牲にしたことを忘れるのが、
  美しい犠牲の完成なのだ。
             「犠牲の花嫁」

◇ 自分の年とってゆくのを
  忘れさせてくれるのは
  子供しかないってことは、
  あらゆる生物の楽しい悲劇ですよ。
            「化粧と口笛」

◇ 死んだ者の罪を問わないのは、
  今は生きていてやがて死ぬ者の、
  深い真理かもしれませんよ。
           「虹いくたび」

◇ たとえばどんなにいいことにしろ、
  それを知るべき年齢よりも早くそれを知れば、
  それは悲劇の色しか帯びない。
                 「化粧と口笛」

◇ 僕は生きている方に味方するね。
  きっと人生だって、
  生きている方に味方するよ。
         「生きている方に」

◇ 忘れるにまかせるということが、
  結局最も美しく思い出すということなんだ。
                「散りぬるを」