☆ 史記 ☆


しき
 中国最初の紀伝体の通史。二十四史の一。一三〇巻。前漢の司馬遷著。紀元前9
1年頃完成。上古の黄帝から前漢の武帝までの歴史を記す。本紀一二巻、表一〇巻
、書八巻、世家(せいか)三〇巻、列伝七〇巻から成る。後世、正史の模範とされ
た。注釈書に南朝の宋の裴(はいいん)の「史記集解(しつかい)」、唐の司
馬貞の「史記索隠」、唐の張守節の「史記正義」などがある。太史公書。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−
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◎「網 呑舟(ドンシュウ)の魚を漏らす。」

  網の目が粗いために大きな魚まで逃がしてしまうこと。つまり、法律が大雑把
  であるために、大罪人を逃がしてしまうこと。

  【呑舟(どんしゅう)】
   舟をまるのみにすること。
  【呑舟の魚(どんしゅうのうお)】
   〔「荘子(庚桑楚)」〕舟をのみ込むほどの大魚。転じて、(善悪を問わず
   )大人物。大物。
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◎「石に立つ矢」
                                −李広伝−
  虎と見誤って石を射たところ矢は石を射通したという故事。つまり、一念をこ
  めてすれば、どんな困難でも必ず成就するということ。
  また、韓詩外伝(カンシガイデン)の「楚の熊渠子(ユウキヨシ)の話」とし
  てもあります。

◎「一敗地に塗(マミ)れる」
                               −高祖本紀−
  敗れて体が泥にまみれるということ。つまり、再起できないほど、さんざんに
  負けること。

◎「移木の信(イボクのシン)」
                                −商君伝−
  秦の商鞅(ショウオウ)が法律を改正した時に人民は信用しなかった。これを
  気遣い、「都の南門に立てた大木を北門に移した者には十金を与える」という
  お触れを出したが人民は信じなかった。五十金に増やしたところ一人の男が大
  木を移したので、政府は約束通りお金を与え、それから政令を公布した故事よ
  り、約束したことは必ず実行すること。また、人にまことを示すこと。

◎「燕雀(エンジャク)安(イズク)んぞ
  鴻鵠(コウコク)の志(ココロザシ)を知らんや。」
                               −陳渉世家−
  燕や雀のような小さな鳥には、鴻や鵠がわかるはずがないということ。つまり
  、小人物には大人物の志がわからないということ。

  【燕雀(えんじゃく)】
   (1)ツバメとスズメ。
   (2)度量の小さい人物のたとえ。
  【鴻鵠(こうこく)】
   (1)鴻(おおとり)や鵠(くぐい)など、大きな鳥。
   (2)大人物。英雄。
  【鴻/菱食(ひしくい)】
   カモ目カモ科の水鳥。全長約80センチメートルの大形のガン。体は暗褐色
   。くちばしは黒く先端が橙(だいだい)色。ヒシの実を好む。シベリア・グリ
   ーンランドで繁殖。日本には冬鳥として渡来。天然記念物。沼太郎。
  【鵠(くぐい)】
   〔上代は「くくい」〕白鳥の古名。
  【上代(じょうだい)】
   (1)大昔。昔。以前。
   (2)日本の歴史上の、特に文学史・国語史における時代区分の一。主とし
      て、奈良時代にあたる。
   (3)王朝風であること。転じて、おっとりとしていること。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「王侯(オウコウ)将相(ショウショウ)
  寧(イズク)んぞ種(シュ)あらんや」
                               −陳渉世家−
  王侯や将軍・宰相となるのは、家柄や血統によらず、自分自身の才能や努力に
  よるということ。

  【王侯(おうこう)】
   王と諸侯。
  【将相(しょうしょう)】
   将軍と宰相。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

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◎「会稽(カイケイ)の恥」
                             −越王勾践世家−
  中国の春秋時代、越王勾践が会稽山で呉王夫差に敗れたが、後年この恥をそそ
  いだということ。つまり、敗戦の恥辱のこと。他人から受けたひどいはずかし
  めのこと。
◎「会稽(カイケイ)の恥をそそぐ」
                             −越王勾践世家−
  中国の春秋時代、越王勾践が会稽山で呉王夫差に敗れたが、後年この恥をそそ
  いだということ。つまり、敗戦の恥辱の復讐・しかえしのこと。他人から受け
  たひどいはずかしめ復讐・しかえしのこと。

  【会稽(かいけい)】
   (1)「会稽山(かいけいざん)」の略。
   (2)「会稽の恥(はじ)」の略。
   (3)〔会稽の恥をそそぐ意〕復讐(ふくしゆう)。しかえし。
  【会稽山(かいけいざん)】
   中国、浙江(せつこう)省紹興(しようこう)の南東にある山。海抜860
   メートル。春秋時代、越王勾践(こうせん)が呉王夫差に敗れた所。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

会稽山(かいけいざん)
− 会稽山(かいけいざん) −


◎「河海(カカイ)は細流を択ばず」
  【原】河海不択細流                     −李斯伝−
  川や海はどんな小さな流れでも受け入れるから、大きな川や海となることがで
  きる。つまり、大人物になるには、度量広く、人のより好みをしないで、自分
  の仲間に入れなければならないということ。
  【河海(かかい)】
   河と海。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−
  【河海(かかい)】
   黄河と海。

◎「禍福(カフク)は糾(アザナ)える縄の如し。」
                               −南越伝賛−
  人の幸不幸は、災いが幸いとなったり、幸いが災いとなったり、より合わせた
  縄のように表裏をなしている物であるということ。つまり、禍福は人知では計
  りがたいということ。

  【禍福(かふく)】
   災いと幸せ。不幸と幸福。
  【糾う(あざなう)】
   撚(よ)り合わせる。縄などをなう。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「完璧(カンペキ)」
 【原】
  「臣(シン)願わくは璧(ヘキ)を奉じて往(ユ)かん。
   城をして趙(チョウ)に入らしむれば璧は秦(シン)に留(トド)めん。
   城入らずんば臣請(コ)う完璧(璧を完(マット)う)して趙に帰らん。」
  cf. 「璧」は宝玉のことで、「壁(かべ)」とは別の字。
                    −藺相如伝(リンショウジョデン)−
  きずのない玉のこと。つまり、欠点や不足がなく、非常に立派なこと。
  戦国時代に趙(チョウ)の国の「和氏(カシ)の璧(ヘキ)」という宝玉を秦
  (シン)の王がほしがり、十五の都城との交換を求めたので、藺相如(リンシ
  ョウジョ)が使者となって持参したが、秦の王は璧だけ取って都城をよこす意
  志がなかった。藺相如は王をあざむいて璧を取りもどし、無事に国に持ち帰っ
  た、という故事。もともとは、他人から預かったものを傷つけずに返すこと。
  cf.   「璧」は宝玉のことで、「壁(かべ)」とは別の字。

  【璧(へき)】
   古代中国の玉器の一種。円盤状の軟玉の中央に円孔を穿(うが)ったもの。
   祭祀用具、のちには装飾や古墳副葬品などに用いられた。
  【宝玉(ほうぎょく)】
   珍しく貴重な玉。宝石。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−
  【和氏の璧(カシのヘキ)】
   璧の名。楚国産の名玉。和氏はこの璧の発見者の名前。
   楚の時代、和氏という男が山の中で宝玉の原石を発見し、二代の王に献上し
   たが、どちらの王にも「ただの石」と鑑定され、和氏は両足を切られてしま
   いました。王が亡くなり次の王が即位したが、和氏は璧を抱いてただ泣き続
   けました。その噂を聞いた王がその原石を磨かせた結果ようやく宝玉である
   ことが認められたといいます。後に趙の恵文王が入手し、「完璧」の語源に
   もなりました。

◎「管(カン)を以(モ)って天(テン)を窺(ウカガ)う」
  【原】以管窺天

  管の穴から天を窺い見る。つまり、小さな視野・知識から大きな物事の判断を
  下すことの愚かだということ。

◎「奇貨(キカ)居(オ)くべし」
                               −呂不韋伝−
  珍しい品物であるから、今買っておいて後日利益を得るがよいということ。つ
  まり、得がたい機会だから逃さず利用すべきだということ。
  秦(シン)の相となった呂不韋(リヨフイ)がまだ商人だった頃、趙(チョウ
  )の人質になっていた子楚(始皇帝の父)を見てこれをうまく利用しようとし
  て言った語。

  【奇貨(きか)】
   (1)珍しい財貨。
   (2)利用すれば大きな利を得られるかもしれない機会や物事。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「驥尾(キビ)に付(フ)す」
                                −伯夷伝−
  ハエが驥尾にとまっていれば千里も移動することができるということ。つまり
  、知恵のない人が優れた先輩につき従うことで自分だけではできないような事
  を成し遂げること。
  補足として
  「蒼蠅(ソウヨウ)の飛ぶや、数歩に過ぎず。もし驥尾に託すれば...」
  と後漢書には記されているそうです。

  【驥尾(きび)】
   〔「驥」は一日に千里を走るという駿馬(しゆんめ)〕駿馬の尾。駿馬の後
   ろ。また、すぐれた人の後ろ。
  【蒼蠅(そうよう)】
   (1)あおばえ。はえ。
   (2)君側にあって讒言(ざんげん)する人。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「愚者も一得」
                     −淮陰侯伝(ワイインコウデン)−
  愚か者の考えにも、一つぐらいは良い考えがあるということ。

  【愚者(ぐしゃ)】
   おろかな人。ばか者。
  【一得/一徳(いっとく)】
   (そのものが有している)一つの利得。一利。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「琴柱(コトジ)に膠(ニカワ)す」
                               −藺相如伝−
  琴柱を膠で固定してしまっては調子が変えられないということ。つまり、融通
  がきかないこと。

  【琴柱/箏柱(ことじ)】
   (1)箏(そう)・和琴(わごん)の胴の上にたてて弦を支え、その位置を
      変えて調律するための「人」の字形の具。材質は木・象牙・プラスチ
      ックなど。
   (2)家紋の一。(1)を図案化したもの。
  【膠(にかわ)】
   〔煮皮、の意〕獣・魚類の骨・皮などを石灰水に浸してから煮て濃縮、冷や
   して固めたもの。粗製のゼラチン。接着剤とし、また、絵の具や画布の製造
   に用いる。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

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◎「先(サキ)んずれば則ち人を制し、
  後(オク)るれば則ち人の制する所と為る」
                               −項羽本紀−
  他人よりも先に物事を行えば、有利な立場に立てるということ。
  秦の始皇帝(シコウテイ)が亡くなった後、世の中はふたたび乱れてしまいま
  した。世の中をまとめるために、次の王をねらって挙兵を決意した殷通(イン
  トウ)は項梁(コウリョウ)に話を持ちかけました。殷通は、『私は「真っ先
  に始めた者が人を制することができる」と考えている。人よりも先に事を起こ
  せば優位に立つことができるし、少しでも遅れると他人に支配されてしまうだ
  ろう。俺の部下とならないか。ぜひ一緒に闘おうではないか。今、このチャン
  スを逃すわけにはいかないぞ。」と言いました。項梁は、にこやかに「あなた
  のおっしゃるとおりです」と返事をして、甥の項羽を室内に呼びました。する
  と、項羽はたちまち殷通の頸(クビ)をはねてしまいました。

◎「三年飛ばず鳴かず」

  中国の春秋時代、楚の荘王(ソウオウ)は三年もの間、政治に身を入れなかっ
  た。伍挙(ゴキョ)がそれを
  「三年間、飛びもせず鳴きもしない大きな鳥」
  にたとえていさめると、
  王は
  「ひとたび飛べば天に昇り、ひとたび鳴けば人を驚かせるだろう」
  と答えて国政に取り組んだという。つまり、長い期間何もせず、じっと好機を
  待っているということ。

◎「鹿を指して馬と為す」
             −史記(シキ)・十八史略(ジュウハッシリャク)
  中国の秦の始皇帝の死後、趙高(ちょうこう)は幼皇帝を表に立て、自分は丞相
  (ジョウショウ)として実権を握った。やがて自分の権勢がどれくらいか試そ
  うと、鹿を馬だと称して皇帝に献じてみた。皇帝は、「これは鹿ではないか」
  と側近に尋ねたが、趙高の権力を恐れるあまり、事実を言う者はほとんどなか
  ったという。この故事より、自分の権力を利用して、間違ったことを無理に押
  し通すこと。また、人を愚弄すること。

  【丞相(じょうしょう)】〔古くは「しょうじょう」〕
   (1)中国で、天子を補佐して政務を処理した最高の官。戦国時代からみえ
      、明初に廃された。
   (2)大臣に相当する唐名。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「死屍(シシ)に鞭打つ」
                         −伍子胥(ゴシショ)伝−
  伍子胥が楚の平王の墓をあばき、屍を鞭打った。つまり、故人の現行を非難攻
  撃すること。
  【死屍(しし)】
   死体。なきがら。しかばね。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「士は己を知る者の為に死し、
  女は己を説ぶ者の為に容づくる。」

  立派な男子は、自分の価値を認めてくれる人のためには命を捨てる。女性は、
  自分を愛してくれる人のために美しく化粧するということ。つまり、男女のあ
  るべき姿を述べたもの。

◎「春秋に富む。」

  年がまだ若く、将来性があるということ。

  【春秋(しゅんじゅう)】
   (1)春と秋。
   (2)年月。歳月。
   (3)年齢。よわい。
   (4)中国の史書。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「積羽(セキウ)舟を沈む」
                                −張儀伝−
  羽のように軽いものでもたくさん積めば船を沈めるほどになるということ。つ
  まり、小さい事でも、積み重なれば大事を引き起こす事になるということ。

◎「千金(センキン)の子は市(イチ)に死せず」
                               −貨殖伝序−
  金持ちの子は法を犯すことはないので、処刑場で死ぬことはないということ。
  また、重罪を犯しても金の力で死刑を免れられること。つまり、世の中は金が
  あればどうにでもなるということ。

  【千金(せんきん)】
   (1)千枚の金子(きんす)。千両。
   (2)多額の金銭。また、きわめて大きな価値。
  【市(いち)】
   (1)多くの人が集まって物を売買する場所。律令制時代には、官設の市が
      平城京・平安京それぞれの東西にひらかれ、地方の国府にも設けられ
      た。中世以後、交通の要地に設けられ、また次第に定期市として発達
      し、貨幣の流通によって交換の場から商業市場へと発展。
   (2)多くの人が集まるところ。
   (3)まち。市街。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−
  【市(いち)】
   市井(シセイ)・町、処刑場のこと。

  cf.
  【市井(しせい)】
   〔昔、中国で、井戸のある周辺に人家が集まったことから、あるいは市街で
   は道が井の字の形をしているからともいう〕人家の集まっている所。まち。
   ちまた。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「千人の諾々(ダクダク)は一士の諤々(ガクガク)に如(シ)かず」
                              −商君伝−
  何でも従う人が千人いても、正論を述べる一人には及ばないということ。

  【諾諾(だくだく)】
   他人の言うことに逆らわずに従うさま。
  【諤諤/愕愕(がくがく)】
   (1)遠慮せずに正しいと思うことを述べたてるさま。
   (2)やかましくしゃべりまくるさま。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

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◎「大行(タイコウ)は細謹(サイキン)を顧(カエリ)みず」
                                −項羽紀−
  鴻門(コウモン)の会の宴会の半ばで、身の危険を感じた沛公(漢の高祖)が
  便所に立ち、そのまま逃げ出そうとし、項羽に対する暇乞いの挨拶をどうしよ
  うといった時、家来の樊(ハン)カイがそのまま立ち去らせるために言った言
  葉。つまり、大事を成そうと志す者は、小さな慎みなどは気にしないというこ
  と。

  【細謹(さいきん)】
   こまかなことに気を配ること。
   【鴻門(こうもん)】
   中国、陝西(せんせい)省臨潼県の地名。
  【鴻門の会(もうもんのかい)】
   紀元前206年、劉邦と項羽が鴻門で会見したこと。項羽の臣が剣舞にこと
   よせて劉邦を殺そうとしたが、項伯がともに舞ってこれを制し、樊(はんか
   い)が怒髪して項羽に対している間に劉邦は張良の計に従って逃れ去った。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「太公望(タイコウボウ)」
                                −斉世家−
  周の文王が、渭水(イスイ)で釣りをしていた呂尚(リョショウ)を見て、
  「吾が太公〔祖父・古公亶父(ココウタンポ)〕、子(シ)を望むこと久し」
  と言ったという故事から呂尚の尊称。また、釣りをする人。あるいは、釣り好
  きの人のこと。

◎「泰山は土壌を譲らず、
  故に能く其の大を成す。
  河海は細流を択ばず、
  故に能く其の深さを就す。」
                                −李斯伝−
  泰山は小さな土くれをも受け入れたからこそ高い山になったし、黄河や海は小
  さな流れをも受け入れたからこそ深くなったということ。つまり、広い心の持
  ち主は、どの様な人々の小さな意見をも謙虚に受け入れるものであるというこ
  と。

  【泰山/岱山/太山(たいざん)】
   (1)中国、山東省の中央部、済南の南に位置する名山。五岳の一。秦代か
      ら皇帝が封禅の儀式を行なった所。道教信仰の中心。海抜1524メ
      ートル。タイ-シャン。
   (2) 高い山。大山。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

泰山
− 泰山 −


◎「民の口を防ぐは水を防ぐよりも甚だし」

  人民の言論を権力でおさえつけることは、川のはんらんを防ぐことよりも難し
  いということ。

◎「断じて行えば鬼神(キジン)も之を避く。」

  固い決心をして事を行えば、鬼神でさえも妨げられない。つまり、断固として
  実行すれば、何事もなし得ないことはないということ。

  【鬼神(きじん)】〔「きしん」とも〕
   (1)荒々しく恐ろしい神。
   (2)人の目に見えず、超人的な力をもつ存在。
   (3)鬼。
   (4)天地万物の霊魂。死者の霊魂と天地の神霊。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「智者も千慮に必ず一失あり、
  愚者も千慮に必ず一得あり。」
                       −淮陰侯(ワイインコウ)伝−
  どんなに知恵のある人でも時には失敗し、どんなに愚かな人でも時にはよい考
  えを出すということ。つまり、自分の知恵におごらず、また人の意見にも耳を
  傾けるべきであるということ。

  【知者/智者(ちしゃ)】
   (1)物事の本質を知る人。道理をわきまえた人。
   (2)〔仏〕
   (ア)仏・菩薩・高僧など、真理を知ったもの。
   (イ)教義や経典などの知識に通じた僧。
  【愚者(ぐしゃ)】
   おろかな人。ばか者。
  【千慮(せんりょ)】
   あれこれと十分に考えをめぐらすこと。多くの思慮。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「月満つれば則ち虧(カ)く。」

  月が満月を過ぎると次第に欠けていく。つまり、物事は盛りに達すると次は必
  ず衰えていくということ。栄華を誇っておごり高ぶることへの戒め。

  【欠ける/闕ける(かける)】
   (1)・・・(2)・・・(3)・・・
   (4)(「虧ける」とも書く)満月を過ぎて、月が次第に細くなる。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「手を拱(コマヌorコマネ)く」

  何もしないでいること。または、何もできないでいること。手を束(ツカ)ね
  ること。
                              −始皇本紀賛−
 【原】「先生に道で出会ったら、
     走って前に行き正しく立って両手を前に組み合わせる」
  昔の、中国の敬礼の一つで、両手の指を胸の前で組み合わせて挨拶すること。
                        −礼記(ライキ)・曲礼上−
  また、腕組みをすること。腕を組んで深く考え込むこと。

  【拱く(こまぬく)】or【拱く(こまねく)】
   (1)両手を胸の前で重ね合わせる。腕を組む。もと、中国の敬礼の動作。
   (2)手出しせず傍観する。なにもしないで見ている。こまねく。
  【手を束(ツカ)ねる】
   (1)「手をこまぬく」に同じ。
   (2)手を組んで、恭順や謝罪の意を表す。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「桃李(トウリ)ものいはざれども、
  下(シタ)おのづから蹊(ミチ)を成す」

  【原文】桃李不言下自成蹊
                              −李将軍伝賛−
  桃や李(スモモ)は何も言わないが、美しい花にひかれて人が集まり、その下
  には自然に道ができる。つまり、徳のある者は弁舌を用いなくても、人はその
  徳を慕って集まり帰服(キヌク)すること。

  【桃李(とうり)】
   (1)桃と李(すもも)。
   (2)試験官が採用した優れた門下生。自分がとりたてた人材。
  【弁舌(べんぜつ)】
   ものを言うこと。また、ものの言い方。
  【帰服/帰伏(きふく)】
   つき従うこと。支配下に入ること。帰順。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

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◎「鳴かず飛ばず」

 [史記]では、
  長い間鳴きも飛びもしないでじっとしているということ。つまり、将来の活躍
  を期して長い間機会を待っていること。
 [呂氏春秋 & 史記]では、
  また、現在では、長い間何の活躍もしないでいることを自嘲的に、または軽蔑
  していうことが多い。

◎「乳臭(ニュウシュウ)」
                                −高祖記−
  赤ん坊の様にその口が乳臭い若者のこと。つまり、未熟者のこと。

◎「嚢中(ノウチュウ)の錐(キリ)」
                               −平原君伝−
  錐を袋(嚢)の中に入れておくと、すぐにそのとがった先端が袋を突き破って
  出てくる。つまり、優れた才能があれば自然と外にあらわれるということ。
  中国趙の人平原君の門人毛遂が隋員を志願した時、平原君がその才能を疑った
  ので、毛遂が「錐の嚢中に処るが若し」と言ったという故事からの言葉です。

  【嚢中(のうちゅう)】
   (1)袋の中。
   (2)財布のなか。所持金。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

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◎「敗軍の将は兵を語らず」
                     −淮陰侯伝(ワイインコウデン)−
  韓信が趙と戦った時、趙には広武君という軍略家がいた。彼は策略を主君に建
  言するが容れられず、韓信に負け捕まってしまった。韓信は手厚く遇して燕と
  斉を討つ策を尋ねるが、広武君は「敗軍の将は・・・」と言って辞退した。す
  なわち、戦いに敗れた将軍は兵法について語る資格がないということ。つまり
  、失敗した者はその事について意見を述べることをしないということ。

◎「背水の陣」
                     −淮陰侯伝(ワイインコウデン)−
  漢の韓信が、川を背に陣立てし、「退けば水、進めば敵、同じ死ぬなら敵中に
  」と、味方に必死の覚悟を固めさせて、趙(チョウ)の軍勢を破ったという。
  つまり、一歩もあとにはひけないせっぱ詰まった状況・立場。また、そういう
  状況に身を置いて、必死の覚悟で事にあたること。

  【背水(はいすい)】
   (1)川や湖などを背にすること。
   (2)バック-ウオーターに同じ。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「測り難きは人心(ヒトゴコロ)」

  世の中で人の心ほどわからないものはないということ。また、人の心は変わり
  やすく頼みにはならないこと。

  【人心(ひとごころ)】
   (1)人間の心。人情。なさけ。
   (2)平常の意識。正気。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「人衆(オオ)ければ天に勝ち
  天定まりてまたよく人を破る」
                               −伍子胥伝−
  人の勢力が強い時には、一時は正しい天理にも勝ち、悪い者が栄えることがあ
  るが、天運が廻って世の中の道が正しくなれば、天の正道は邪悪に勝って、正
  しい者が栄え るようになるということ。
  伍子胥(ゴシショ)が平王の屍を鞭打ったのを聞いて、楚時代の伍子胥の友人
  の申包胥(シンホウショ)がそれを強く非難した言葉。

◎「人 木石に非ず。
                       −安に報ずるの書[
司馬遷]−
  人間はさまざまな感情を持っているものであり、木や石でできているものでは
  ない。つまり、血が通い、感情があるということ。

◎「刎頚(フンケイ)の交わり。」

  中国春秋時代、趙の廉頗が、功績をあげて自分より上位になった藺相如をねた
  みはずかしめようとしたとき、相如は二人の争いは国のためにならないと身を
  避けた。これを聞いた廉頗は自分の不明をわび、以後は生死をともにする親交
  を結んだという。つまり、相手のためには首をはねられても悔いがないほどの
  深い友情のこと。

  【刎頚(ふんけい)】
   首をはねること。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

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◎「満を持(ジ)す」
                             −越王勾践世家−
  弓を十分に引いて構えること。つまり、十分に用意して機会を待つこと。また
  、物事が絶頂に達し、その状態を保つこと。

◎「右に出づる者なし」
                       −田叔伝(デンシュクデン)−
  昔、右を上席(ジョウセキ)としたことから、それより右にいる者がないとい
  うこと。つまり、最上位ということ。つまり、一番優れている者のこと。
  【上席(じょうせき)】
   (1)年長者・上位の人・正客などのすわる席。かみざ。
   (2)上位の等級・席次。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「寧(ムシ)ろ鶏口(ケイコウ)と為るとも牛後(ギュウゴ)と為る無かれ。」
                 −蘇秦伝/戦国策(センゴクサク)・韓策−
  中国の戦国時代、合従策を唱える蘇秦(ソシン)が小国の韓王に、「秦に臣従
  せず。たとえ小国であっても一国の王であれ」と説き、六国合従を進めた故事
  、「牛の尻よりも鶏の口になるほうがまし。」つまり、大きな組織で人に使わ
  れるより、小さな組織でも長であるほうが良いということ。「鶏口牛後」

  【寧ろ(むしろ)】(副)
   二つの物事をくらべ合わせ、あれよりもこの方を選ぶという意を表す。どち
   らかといえば。いっそ。
  【鶏口(ケイコウ)】
   ニワトリの口。また、小さな団体の長のたとえ。
  【牛後(ぎゅうご)】
   牛の尻(しり)。権力のある者の尻につき従う者のたとえ。牛尾。
  【合従(がっしょう)】
   〔「従」は「縦(たて)」で、縦に連合する意〕
   (1)中国、戦国時代に、蘇秦(そしん)が唱えた、秦(しん)に対抗する
      ための攻守同盟。韓・魏(ぎ)・趙(ちよう)・燕(えん)・楚(そ
      )・斉(せい)の六国を南北に連合して秦に当たらせた政策。
   (2)同盟または連合すること。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「沐猴(モッコウ)にして冠(カ)す」
                               −項羽本紀−
  猿が着物を着て冠をつけているようだということ。皇帝の地位につく
  資格のない野人ということ。(下品でいやしい人をばかにした語。)

  【沐猴(もっこう)】
   猿(さる)の類。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

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◎「良賈(リョウコ)は深く蔵して虚しきが若し」
                                −老子伝−
  よい商人は品物を奥にしまっておいて、店頭には出しておかない、ということ
  。つまり、賢者が才能を誇示しないということ。

  【良賈(りょうこ)】
   〔「賈」は商人の意〕よい商人。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「両端を持(ジ)す」

 【原】「晋聞楚之伐鄭 発兵救鄭 其来持両端 故遅 比至河 楚兵已去」

  両方の端を持つということ。つまり、敵対する二つの、両方の肩を持つこと。
  どちらか有利な方に付こうとして決め兼ね、曖昧な態度で形勢をうかがうこと
  。

  【両端(りょうたん)】
   (1)物の両はじ。
   (2)ふたごころ。
   (3)初めと終わり。本末。首尾。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

◎「両雄並び立たず」

  英雄二人が共存することは難しく、勢力争いが起こって、どちらかが倒れるも
  のであるということ。

  【両雄(りょうゆう)】
   二人の英雄。
                      −三省堂提供「大辞林第二版」−

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